【はっきりさせておく】帰国子女と留学生の違い

 

長年書きたくて温めつづけたこの究極のテーマ「帰国子女と留学生は違う」

最近この二つを混同している人が多すぎて、特に1〜2年英語圏に留学して「帰国子女でーす❤️」とSNS上で綺麗な写真を投稿している方や、YouTubeで「帰国子女にありがち!留学かぶれあるある」みたいなタイトルのビデオで帰国子女と留学生が混同されまくっているという事態が散見され、これははっきりさせておこうと書くことを決心した次第です。

始める前に、お伝えしておきたいことがあります。この記事は帰国子女と留学生/留学経験者どちらがより優れている、と言っているのではありません。まずその点をご理解ください。帰国子女と留学生、どちらもそれぞれ素晴らしい経験をされてきていると思いますので、それらを混同しないでほしい。それがテーマです。

 

さて、身の上話になりますが私は中学〜高校の5年間を東南アジアで過ごしました。親の仕事の都合で強制的に引っ越さなければならず、現地の学費がべらぼうに高いインターナショナルスクールに転校。英語ゼロスタートでほぼ毎日深夜2時まで宿題や勉強をこなし卒業した後、家族で日本に帰国。帰国子女枠を使って日本の大学に秋入学しました。

 

この経歴を元に、以下に

  1. 帰国子女の定義
  2. 海外渡航の理由
  3. 現地での暮らし
  4. 大学受験
  5. 帰国後の暮らし

に分けて留学生との違いと思われる点を述べていきたいと思います。

尚、この記事では帰国子女も留学生も10代くらいまでの時期を指しています。また、留学生は留学をしている人のことを指しますので、日本に帰国した後は留学経験者としています。

 

1. 帰国子女の定義

帰国子女という単語にははっきりとした定義があり、まず定義を調べれば留学経験者とは違うと一目瞭然です。

- 帰国子女(きこくしじょ)とは「帰国した息子達・娘達」の総称。
保護者の国外転居に伴って国外に転居した後に自国に転居 (帰国)した子女。
(Wikipediaより)

 

 

2. 海外渡航の理由

上記の定義の中に「保護者の国外転居」とありますが、親の都合で転居がやむを得ないのが帰国子女です。家族で引っ越します。

一番多いのは父親の転勤です。家庭によっては単身赴任を選び、家族は日本に残る、という方もいますが、一緒に来るんだよと言われたらもう子としてはno choiceなんです。

私は親から引っ越しを告げられた時はちょうど中学に入学してしばらくした頃でした。部活も波に乗ってきてこれから仲間と一緒にもっと頑張ろう!と思っていたところに引っ越し。大好きな友達とも離れ離れになるし、本当に残念な思いをしたのを今でもよく覚えています。インターナショナルスクールに入ることになると思うと言われ、英語も小学生の頃の英会話教室と中学で習う英語程度の知識しかなく、それまで海外旅行もしたことなかったので、とにかく不安と絶望が入り混じった気持ちでいっぱいでした。

しかも帰国子女は引っ越し先を選べません。私は東南アジアの中でも治安も良く発展した都市で暮らすことになりましたが、私の知人のなかではスリランカに住んでいて、当時やっとマクドナルドができたところだった、とか、ブラジルは日本から遠すぎるので、一時帰国するのに何日もかかって大変だった、とかそういう人たちがたくさんいます。それでも、行き先は選べません。引っ越さないといけないのです。

 

留学生は

– 自分の意志で留学に行くことを決意する

– 行き先も自分で決めることができる

この2点が決定的に帰国子女とは違います。

留学に行くきっかけも人それぞれだと思いますが、私が今まで会った人の中でも本当に色々な人がいて

・海外に興味や憧れがあり、留学した

・中高の早い段階から、海外でやりたいことがあった

・中高の早い段階から、異文化交流させたいという親の希望

・日本の中高で落ちこぼれてしまったので、一念発起して海外留学

こういった理由を聞きました。もちろんこれ以外にも理由はたくさんあると思います。若い頃から自分の意志でやりたいことを見つけ、それを達成するためには海外で勉強したほうがいい、ということで海外留学を決意するのは立派なことです。そして、ご家族がその意思を尊重し、サポートしてくれるのも本当に素晴らしいことです。

 

 

3. 現地での暮らし

海外に家族で引っ越し、いざ生活を始めるとなると色々な壁にぶつかります。これは帰国子女であれ留学生であれ、同じことだと思います。

しかしここでも違いがあると私は思っていて、帰国子女は家族で引っ越し、一から家族で生活の基盤を築かなければなりません。これは、家族全員にとってかなりのストレスになります。

例えばお父さんは、日本の会社から外国の支社のマネジメントを任されて転勤を命じられたとします。同じ会社とはいえ、責任は増えるし、従業員は日本人じゃない場合がほとんど。新しい環境、新しい仕事でも成果を出さなければならず、大変な思いをします。

もしお母さんが専業主婦の場合、あらゆるコミュニティーに一から入り直しです。ご近所さん、ママ友、PTAなど。もちろん言語の壁もついてきます。元々その国の言葉が得意なら問題ないですが、いきなり引っ越し決まってすぐ言語マスターするのも難しいので。そして、現地の日本人コミュニティーもかなり面倒くさいです。駐在員が多い国には当然日本人居住区みたいなものもあるので、そこで人脈を広げるのも大変なんです。

そして当人の帰国子女ですが、日本人学校に入ることになるならまだしも、いきなり現地校やインターナショナルスクールに入ることになったら言語の壁にぶちあたります。みなさん、帰国子女=英語じゃないんですよ!英語が通じる国ばかりじゃないですから!自分で選んでもない国に行ってその言語の言葉で生活しないといけないんです。帰国子女の友人で、中国・ポルトガル・インドネシアなどなどに住んでいた人たちはインターナショナルスクールに行って英語を勉強しながら、現地の言葉もぺらぺらで、本当に関心しました。言語って、現地に住んでいれば自然に身につくものじゃないんです。海外生活を始めるときの年齢が高ければ高いほど、努力しないと言語は身につきません。それをno choiceでやらないといけないんです。

私は英語圏に住んでいたし、インターナショナルスクールに通いましたが最初は英語がわからなくて成績がめちゃくちゃ悪かったです。簡単な宿題をやるにも量が多すぎて深夜2時までかかりましたし、英語ができないからとクラスメイトに馬鹿にされたり冷ややかな目で見られることもありました。今思い返しても、あれはなかなか辛い時期でした。また、詳しくは書きませんが人種差別も当然経験します。

辛い時に思うこと。それは「こんなところ、別に自分で望んで来たわけじゃない」です。これで欝になったり登校拒否になったりする人もいます。でも、弱音なんて吐いてられないんです。ひとりで帰国しても日本に住む場所はないですから。 もう、生き抜くしかないんです、サバイバルです。帰国子女は海外生活が辛い時のモチベーション・心の拠り所がない、というのが辛いところだと思います。

 

留学生にストレスがない、と言っていません。留学生はホームステイ先や寮など、既に完成された場所に入って住むことになるのがほとんどだと思いますが、一から生活の基盤を築き上げる必要がないとはいえ、一人で知らない場所で生活を始めるのは簡単なことではありません。ホストファミリーがひどい人たちだったとか、寮に馴染めなかったとか、色々な問題があると思います。そして何より、一人で異国で生活するほうが家族で引っ越すよりとよっぽど大変だ!と思う方もいらっしゃるかもしれません。

ただ、日本での生活基盤を家族ぐるみで完全に断ち切って引っ越し、新しい場所で新しい生活を始めるという膨大なストレスを経験者しないで済みます。そして何より、留学は自分で決めたことだし、高い費用も払ってるし、絶対目的達成する!という高い志を持って生活できるのではないでしょうか?

 

帰国子女も留学生もそれぞれ、ストレスはありますが、種類が違います。

 

 

4. 大学受験

私が危惧している帰国子女と留学経験者の混同は、この大学受験システムから来ているのではないかと思っています!帰国子女は、現地の高校を卒業したら日本に帰国して日本の大学を受験するか、海外の大学にそのまま進学するかが主な進路なのですが、ここでは日本の大学受験のケースを述べていきます。(もっと若い頃に海外で過ごしてから小学校〜中学校で帰国する場合も、帰国子女入試を設けている小・中学校もあります)

元々、日本の大学受験における帰国子女入試・帰国子女枠というのは、帰国子女が自分の意志とは関係なしに海外生活を余儀なくされ、日本の教育を受けることができなかったため、救済措置として試験項目を変更し、入学生として受け入れるという目的で設立されています。

 

しかし昨今、この本来の目的は忘れ去られつつあり、ほとんどの日本の有名大学は「海外に◯年以上暮らし、現地の学校を卒業していること」を帰国子女入試の受験資格のスタート地点としています。この条件だと、帰国子女でも留学経験者でも受験資格があるわけです。

私は大学在学中からこの点にものすごい疑問を抱いており(子供を留学させるお金さえあれば、いい大学に比較的易しい入試を受けて入学させることができるので、帰国子女入試受験資格の乱用が起こるのではないか?というお節介すぎる疑問。笑) 当時入試担当の教授に突撃して質問しに行ったことがあります(笑)

答えは「確かに帰国子女入試の設立の背景は理解の通りだが、昨今大学は帰国子女の救済よりもグローバル人材の確保の方が興味があるので、帰国子女でも留学経験者でも海外経験がある人に受験資格を与えている」とのことでした。これは教授との日常会話で聞いた話ですし、オフィシャルでもなければ大学によって理由は異なるかもしれないということは留意してください。ただ、あながち間違ってないんじゃないかな、と思います。

この帰国子女入試において、帰国子女と留学経験者の区別がされないので、混同されてしまうのではないかと思っています。実際、私は大学受験のために帰国子女コースがある予備校(代◯ミ、河◯塾、駿◯)に高校卒業後の数ヶ月通っていましたが、クラスメイトの中には留学経験者も何人かおり、ほぼ何の問題もなく帰国子女入試を受験していました(ごく一部の大学は、留学経験者は受験不可という条件を設けていたため受験できなかった大学もあったようです)

東日本大震災以来、放射線から逃げるために某東南アジアの首都へ留学を進めるエージェントが増えていて、そこのウェブサイトには堂々と「留学させれば帰国子女入試で、日本の良い大学に有利な条件で入学させることができる」と謳っているのを見たことがあります。それを見ると本当に、違和感ありまくりです。帰国子女は、帰国子女入試で楽に大学受験をするために海外に行っているのではないのです。親に仕方なくついて行って、現地の生活を一から始めて、日本の教育を受ける機会がなかったから、帰国子女入試という救済措置が与えられているのです。それなのに、自分の意思で進んで海外で勉強することを決めた人たちが、自分たち帰国子女と同じ条件で入試受けれるのはどうなの?と正直思ってしまいます。しかし前述の通り、昨今は大学側も帰国子女と留学経験者の棲み分けを行っていないところがほとんどのようなので、違和感ありまくりですが、声を大にして反論することはできないのが現状ですね。

余談ですが、大学入試に関係ないところでいくと、世間の人たちからしたら若い頃に海外にいた人たち=帰国子女、となんとなくの定義で分けられてる可能性もありますね。そもそも帰国子女の定義を知らない方にとっては悪気もなく一括りにされることもあると思います。

 

 

5. 帰国後の生活

晴れて日本の大学に秋入学すると、今度は逆カルチャーショックが待っています。大学には、厳しい大学受験を乗り越えた猛者たちが今までの鬱憤を解き放つかのように髪を茶髪に染め、ピアスをあけ、お酒を飲み始めるわけですが、そんなイケイケな環境に全く馴染めず戸惑いました。というのも、髪色とか服装とか自由なところにいたし、お酒も18歳からOKの法律の国だったし…あの大学の独特な雰囲気に溶け込むには、時間がかかりました。

ただ、幼少期~思春期を日本で過ごしていないと、地元の友達がいないという事態に気づかされるんです。日本の大学に入学して20歳になると、みんな成人式というビッグイベントのために帰省し、旧友とめちゃくちゃ盛り上がるそうなんですが、私はまず成人式がそこまでビッグイベントだということを知らなくて、みんな気合入れてドレスアップしてるのもぜんぜん理解できませんでした。ずっと日本で過ごしてきた人たちは地元に友達がいて裏ましいな、と心底思いました。

そして地味に傷ついたのが、「帰国子女=アメリカ・カナダ・イギリスなど先進国から来た人だと思ってた。東南アジア?え?ジャングルでしょ?ww」という、大学で知り合ったみなさんに軽くディスられた点でした。笑 外国って白人が住んでる国だけじゃないんだよ…。東南アジアの首都とかあなたの地元の1,000倍は都会だよ?と言い返したい気持ちをぐっとこらえてました。これは、留学に行く人が行き先に選ぶ国が欧米の先進国が多い、ということから生まれる偏見なのではないかな、と思います。最近は東南アジアも旅行先としては知名度だいぶ上がってきましたが、やはりまだまだ憧れの的なのは欧米の先進国なんだなーと思いましたね。

帰国してまた新しい生活を一から始めるというこのストレスを、また家族全員で味わうわけです。父は日本のオフィスで新しい役職。母はご無沙汰しているご近所さんたちと関係修復。帰国子女は新しい学校。持ち前の適応力でここでもサバイバルしていくわけです。

 

 

ちなみに、留学経験者ではなく帰国子女の友人たちは、世間でよく言われる「外国かぶれ」を感じない、見た目も話し方も態度も違和感ない人たちも多くいます。そのうちの多くは日本にある日本企業でバリバリ仕事をこなしています。いちいち「外国で働いてたらどうのこうの」みたいな文句も聞いたことがありません。

 

めちゃくちゃ長くなりました、もし最後まで読んでくださった方がいたら、ありがとうございます。

繰り返しますが、帰国子女・留学生/留学経験者に甲乙つけているわけではありません。ただ、はっきりとした定義が存在し、それぞれ違う苦労や経験をしてきているので、混同しないようにしましょう!それだけです!

 

 

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