チャーハンに厳しいロジャーおじさんの正体!中国にすり寄ってたけど結局干された Nigel Ng さんのプロフィールを紹介

Cover photo by Pixzolo Photography on Unsplash


2023年6月追記:あからさまに中国にすり寄っていたけど結局中国でも干されましたので、その件について追記しました。下の目次からどうぞ。

コロナウイルスの猛威で世界中が静まり返った2020年の夏。ある一つのYouTubeビデオが暗い世界に笑いという光をもたらしてくれました。そのビデオとは“Uncle Roger DISGUSTED by this Egg Fried Rice Video (BBC Food)” 。日本語だと「ロジャーおじさんがBBCのチャーハンレシピに驚愕する動画」となっています。まだご覧になったことない方はぜひこちらを観てみてください。

日本語字幕もついていますが、これはぜひ英語そのままで理解していただきたいです。彼が話し始めた瞬間に「マレーシア人っぽいな」と思って確かめてみたらやっぱりマレーシア人でした。(マレーシアに住んでいたので、このアクセントは聞き慣れているため)
中国本土の中国人ではなく、華人(中国から他の国に移住しその地で生活する中国系の人)のおじさんのあるある像をおもしろおかしくパロったロジャーおじさんというキャラクターを演じながら、めちゃくちゃなイギリス流のチャーハン調理方法をぶった切っていきます。演じるコメディアンナイジェル・ンさんのバックグラウンドがとても気になって調べたので、この記事でご紹介します。


基本情報

名前:Nigel Ng (ナイジェル・ン)
誕生日:1991年3月15日
出身地:マレーシア クアラルンプール


経歴

マレーシアのクアラルンプールにて福建系の両親の下に生まれる。マレーシアの高校を卒業後、大学入学のために渡米。イリノイ州にあるノースウエスタン大学に進学し、エンジニアリングを学ぶ。ちなみにこのノースウェスタン大学は1851年創立の歴史ある名門市立大学で、19人のノーベル受賞者、38人のピューリツァー賞受賞者等を輩出しているそうです。しかも世界大学ランキング 2020」では世界第22位だそうです!(Wikipediaより)。

在学当時から趣味としてコメディーの活動を開始。イリノイ州シカゴを中心に活動。大学卒業後、当時の彼女(現在は破局)を追ってイギリスのロンドンへ移住。データサイエンティストとしていくつかのスタートアップのTechカンパニーにて勤務。2019年からは会社勤めは辞め、コメディー1本で活動中。

いやはや、相当賢い方なんですね、頭の回転がかなり早そう。スタンドアップコメディアンだからそりゃそうか。しかしこんなエリートバックグラウンドがあるとは知りませんでした。


コメディアンとしての実力がわかるスタンドアップ動画

日本のお笑いは漫才やコントとして準備してきたネタをお客さんに披露するのが主流ですが、欧米ではスタンドアップというスタイルのお笑いがあります。一人でステージに立ち、マイクを持ってステージを所狭しと移動しながら、持ちネタを披露しつつもお客さんからの反応を見て臨機応変に対応したり、目の前のお客さんをいじったりと頭の回転の早さと度胸が必要なハイレベルなコメディーなのですが、ナイジェルさんはスタンドアップコメディアンとしても精力的に活動しています。彼のコメディアンとしての本領が発揮されている動画をご紹介します。

こちらの動画のタイトルは「アジア人の親はアレルギーなんて信じない」。アジア人の親はアレルギーなんてのはひ弱なやつがなるもんだから!と信じていると言ってネタにしています。このネタはUncle Rogerでもよく出てきますね。とりあえずロジャーおじさんのときのキャラ違いすぎて驚きました。英語のアクセントの幅の広さも、演技の幅の広さもすごい!


ハーシャおばさんとのコラボ動画

卵チャーハン動画でコテンパンにされたハーシャさん。ナイジェルさんはその後本人に会いに行き、Auntie Hersha (ハーシャおばさん)として何度もコラボしています。ハーシャおばさんはインド系のイギリス人です。ロジャーおじさんに「ココナッツ(肌は茶色いが中身は白人)」と呼ばれたザ・イギリス人の価値観を持った彼女とのコラボ動画はどれも面白いです。

まずはハーシャおばさんをチャイナタウンに連れて行った回。二人とも自由で微笑ましいです。Part 2もあります。


ロジャーおじさんも認めた!世界のゴードン・ラムゼイ

「白人はチャーハンの作り方知らんのだな」というスタンスのロジャーおじさん。しかしそんな彼でも一人だけ認めたシェフがいるのです。それはゴードン・ラムゼイ。スコットランド出身の有名シェフなのですが、キャラが強すぎて危険な域に達しています。ファ○クなどの放送禁止用語の多用はもちろんのこと、物を投げたり客を罵倒したり。破天荒なキャラがウケてテレビでも引っ張りだこの有名人です。
彼が教えてくれるのはインドネシアのチャーハン「ナシゴレン」の作り方。ロジャーおじさんの想像の域を超える超本格的ナシゴレンレシピに驚愕です!


ナイジェルさん、ロンドンで襲撃に遭う

11月のある日、夜にロンドンの街を歩いていたところ、見知らぬ人に顔面を殴られ、唇を切ったり顔にアザができたりという大変心配な目に遭ったそうです。殴ってきた男性が “You know what you did” (てめー何したかわかってるだろ!)を言いながら襲ってきたそうで、ナイジェルさん曰く恐らくコロナウイルス関係のアジア人へのヘイトだと思うとのことでした。本当に心配でしたが、今は傷も完治しているようです。
そしてさすがコメディアン、警察に行ったら警察官がロジャーおじさんのこと知っててくれて嬉しかったとか、コメディアンとしてこういう経験は笑いに変えないといけないと言っていました。


ロジャーおじさん、ついに卵チャーハンを自作 (2021年1月追記)

「Youtubeのチャンネル登録者数が300万人に到達したら、ロジャーおじさん自ら卵チャーハンを作ります!」と2020年の年末に宣言しあっという間に300万人を突破。約束通り2021年一発目の動画としてロジャーおじさんが自ら卵チャーハンを調理するビデオを公開!あれだけ多くのシェフや一般人をこき下ろしたんだから(!?)さぞかし上手にできるんだろうと期待が膨らみますね。真相はビデオをご覧になり確かめてみてください!
ちなみに、インドネシアのSasaというMSGを製造・販売しているブランドがこのビデオのスポンサーをしています。それまでロジャーおじさんはよく味の素を見せたり使ったりしていたのに…マーケティングはインドネシアの方が何枚も上手のようですね。味の素さん、せっかくの機会だったのに残念。(余計なお世話)


ナイジェルさん大炎上…(2021年1月追記)

1月某日、Nigelさんは自身のYouTubeチャンネルに”Uncle Roger Reviews Ugliest Dumpling Ever” (ロジャーおじさんが史上最も気持ち悪い餃子をレビューする)という動画をアップロードしました。世界的に超有名なYouTuberであるStrictly Dumplingこと、Mike Chen(マイク・チェン)さんとのコラボ動画でした。しかし、アップロードの数日後、Nigelさんはその動画を突然削除してしまいました。
その後、中国のツイッターWeiboでナイジェルさんは謝罪文を投稿。原文を掲載します。

My staff and I would like to express our sincerest apologies to everyone. Considering the seriousness of this issue and negative impact of the video itself, we discussed internally and decided to take it down… I wasn’t aware of his political thoughts and his past incorrect remarks about China. This is my negligence… I hope you give Uncle Roger, who just entered China, a chance to improve.”
訳:スタッフと私から皆さんに深くお詫びしたいと思います。この問題の深刻さと、ビデオに対する悪影響を鑑みて、内部で協議し、ビデオを削除することを決めました。彼(Mike Chen)の政治的思想と、彼が中国についての間違った批評をしているということを認識していませんでした。これは私の不注意です。どうか皆さんが、中国に入ったばかり(活動を始めて、知名度が上がったばかり、という意味かな)のUncle Rogerに改善のチャンスを与えてくれることの望みます。

マイク・チェンさんは中国生まれ、アメリカに移住した中国系アメリカ人で、過去に中国共産党について批判的な発言をしています。(例:天安門事件への言及、ウイグル人に対する迫害について)それが中国本土の視聴者に対して不愉快な内容であるため、ナイジェルさんは攻撃される前に削除した上、即謝罪コメントを掲載しました。
マイク・チェンさん本人はこの件について「ナイジェルが中国共産党について自分でリサーチをしてみて欲しい。リサーチすれば、私が本当に中国について”間違った”批評をしたのかどうかがわかるでしょう。イギリスに住んでいるなら基本的な自由は保証されているはず。その自由は共産党の支配下で暮らす何百万の人々には与えられていないものなのです」とコメントしています。

その後、ナイジェルさんはこの件について次のロジャーおじさんビデオでコメントしており、
「ロジャーおじさんはただ面白いビデオを作りたいだけで、政治にもドラマにも関わりたくない。ロジャーおじさんはみんなを笑わせるのが大好きなだけ。これは、だれがどこ出身であろうと、みんなの文化を尊重しながらみんなを楽しませるということ。記録のために言っておくと、中国のソーシャルメディアから1ドルもお金もらってない。姪っ子と甥っ子達(ファンのことをこう呼んでる)が”ロジャーおじさんはMSG(ロジャーおじさんが多くのビデオで言及する、味の素などのうまみ調味料のこと)よりもRMB(中国人民元はRenminbiと書くので、それをこう略します)が好きと言っているのを見るとロジャーおじさんのハートが傷つくよ」

と発言しています。

個人的に、この件はとてもショックでした。ナイジェルさんはマレーシア人で、イギリスに住んでいる。発言や思想の自由があり、検閲されていない情報に自由にアクセスできる立場にあるはずなのに、マイク・チェンさんの中国政府に関する一連の発言を「間違っている」と断言してしまったのは本当に残念です。しかもマイク・チェンさんは、中国共産党を批判するが、中国で暮らす人達を批判しているわけではなく、中国の人達は素晴らしい人たちだとはっきりとコメントをしているので尚更です。


これだけ中国にすり寄ったのに、結局干された(2023年6月追記)

自身のスタンドアップコメディーの最中、3つのシーンがありました。

①観客の一人に話しかけたところ中国本土出身とのことだったので「ちゅ…中国…い、良い国だよね、良い国!」と気まずそうな顔をしながら言って笑いを取る

②スマホを取り出し「奴らに全て聞かれている!習主席よ永遠に!」と言って笑いを取る

③観客に向かって「台湾から来た人〜!」と呼びかけると数人から反応があったため「(台湾は)国じゃない、国じゃない(笑)」と親指を立てたGOODのジェスチャーをしながら言って笑いをとる


この3つのネタが、中国本土の怒りを買い、400万人のフォロワーを抱えていた中国ソーシャルメディアWeiboのナイジェルさんアカウントが凍結されたそうです。

最初このニュースを見て何がそんなに怒りを買ったのか理解に苦しんだのですが、1つ目は明らかに良い国と思っていないのに無理やり言っているように見える。2つ目は会話やら何やら全て盗聴されていることを笑った。3つ目は台湾は国じゃないと笑い飛ばす=本当は国だと思っている。といった理由から、中国で干されたようです。
このような些細なことでも絶対に許さない中国本土、恐ろしいです。このような場所でコメディなどできたもんじゃありませんよね。先日、中国でスタンドアップを行った中国人コメディアンもこのような理由で逮捕されたというニュースがありました。

下に貼った動画でナイジェルさん本人が中国で干された事件について言及していますが、ちゃっかり「みなさんフリースピーチをサポートしたければ、ぜひコメディーツアーのビデオを買ってね!」とこの一件を宣伝に使う図太さを見せてくれています。

しかしですよみなさん、一つ前に書いた通り、今まで散々中国にすり寄り、マイク・チェンを批判してきたわけですから、今さらフリースピーチなんてよく言えたものだなと思います。



以上、ロジャーおじさんことコメディアンのナイジェルさんのプロフィールと一連の騒動についてのご紹介でした。